Frequently Asked Questions

Q: Q-SUNキセノン試験機やQUV耐候性試験機では、何時間が一年間の屋外暴露に値しますか?

単純な質問ではありますが、残念ながら単純な答えは存在しません。試験機での時間数に何か特別な数字を掛けて屋外暴露に変換する、というのは論理的に不可能なのです。問題は、我々がまだ完璧な耐候試験機を開発できていないということではありません。いかに精巧で高額な試験機を作っても、全てに通用する計算式というのはやはり存在しないのです。最大の問題は、屋外暴露環境の固有の変動性と複雑性にあります。試験機による暴露と屋外暴露との関係は、以下を含む様々な変数に依存します:

  • 暴露場所の地理的緯度(赤道に近ければ近いほど紫外線量が増加)
  •  高度(高ければ高いほど紫外線量が増加) 
  • 地域の地理的特色:試験サンプルを乾燥させる風の有無や、結露を促すまとまった水がある場所までの距離など 
  • 年度ごとのランダムな天候変動:同一の場所で連続年試験を行った場合でも、2倍ほどその劣化状況が変化することもあります。 
  • 季節的変動:冬季暴露は夏季の7分の1ほどの強度にしかならないこともあります。 
  • 試料の方位(南5度に対して真北など) 
  • 試料の絶縁性:絶縁性の裏板を用いた屋外試験試料は、非絶縁性のものより5割ほども速く劣化を起こすことがしばしばあります。  
  • 試験機の稼動サイクル(照射時間と湿潤時間) 
  • 試験機の稼動温度(高温であればあるほど高い促進効果) 
  • 試験対象となる特定の資材  
  • 試験所の光源のスペクトルパワー分布(SPD)

明らかに、促進耐候性試験時間数と屋外暴露期間の関係における変換率を語るのは論理的に無意味です。一つは一定条件であり、もう一つは変数だからです。変換率を求めるには、その妥当性の枠を超えたデータの扱いをする必要があります。

言い換えれば、耐候性試験データは比較データであるということです。促進耐候性試験機によって非常に良質な耐久性データを得ることは可能でも、それは比較データであって絶対的なものではありません。最高でも試験所での耐候性試験に期待できるのは、他の素材と比較した場合の対象素材の相対的な耐久性の格付けに関する信頼できる証拠です。実際、フロリダでの暴露試験においても同様のことが言えます。南5度の方角における屋外の「ブラックボックス」暴露法による一年と、家や車における一年とがどう比較できるかというのは、誰も分かりません。屋外試験でさえ、実際の製品や素材の耐久寿命の相対的な指標としかならないのです。

しかしながら、比較データは非常に強力なものとなり得ます。例えば、少し変更を加えた組成が標準の素材に比べて倍以上の耐久性を持つことに気づいたり、あるいは複数のサプライヤーが提供する見た目は全く同様の素材について、あるものは非常に速く、多くは平均的な期間で劣化し、また限られた一部がより長い暴露でしか劣化しないということが分かるかもしれません。またあるいは、より安価な組成でも、例えば5年間の実使用で妥当な品質基準を達成した標準的な素材と同レベルの耐久性を持つことに気づくかもしれません。

比較データの意義を示すいい例をご紹介しましょう。あるコーティング材製造業者が新しいタイプのクリアコーティングを開発していました。当初のQUV試験では200時間から400時間の間に重度のひび割れが起きました。これは同じ目的で使用される従来のコーティングよりもずっと早い段階での劣化です。しかし、その後3年に亘る配合の改良とQUV試験機による再試験の繰り返しで、コーティングの質は向上され、様々な配合でもQUV試験機において2000時間から4000時間の耐久性を示すようになりました。これは従来のコーティングをはるかに上回る結果です。フロリダで続けて実施された並行試験でも、これに近似した10倍の耐久性の向上が見られました。しかし、もしコーティング配合の調合員がフロリダでの試験結果を待ってその製法を変えていたら、彼らは今頃もまだ配合改良の初期段階で、現在のようにその製品が市場での成功を収めていることはなかったでしょう。

一方、それでもやはり「目の子算」的な変換率をと言うのであれば、立証に基づいて求めるほかありません。全てに通用する一般的な変換率を得ることは不可能でも、多くの試験所や研究所は、それぞれでQ-SUNあるいはQUV試験機での時間数を屋外での暴露時間数に変換するための独自の「概算法」を導き出しています。しかしながら、ここで重要なのは、これらの概算法は各試験所のそれぞれの促進試験と屋外暴露の実際の結果比較から導き出されたものであるということです。さらに、概算的変換は以下の条件でのみ有効となります:

  • 試験対象となった特定の材料
  • 試験機での時間サイクルと温度の特定の組み合わせ 
  • 特定の屋外暴露試験地と試料設置手順

お持ちの素材で屋外暴露の経緯があれば、独自の概算法を導き出すのに数ヶ月以上はかからないはずです。それがない場合には、屋外使用の経緯を持つ競合素材を用いてみるのも可能かもしれません。

多くの試験所や研究所は、Q-SUNあるいはQUV試験機における時間数を実際の暴露時間数に変換するための独自の概算法を開発することに成功しています。

加えて、「相関性」というのが「格付けにおける相関性」という意味であるということは覚えておくべき重要点です。「促進試験機は屋外暴露とどんな相関性を持っているのか?」という質問は、本来は「促進試験機における資材の耐久性の格付けは、屋外での素材の格付けとどれだけ相似したものなのか?」と聞かれるべきです。格付けにおける相関性を測るには、スピアマンの順位相関係数をお奨めしています。これは統計学上の指標で、線形相関係数ほどデータに関する仮定を組む必要がなく計算が容易です。27の自動車コーティング材のQUV試験機による試験結果とフロリダでの耐久性における格付け調査で、QUV試験機の格付けとフロリダでの格付けの相関性は最高で0.89でした。フロリダにおける異なる暴露ケース間における格付け上の相関性は、0.88から0.95でした。言い換えれば、QUV試験機はフロリダ自体が再現できるレベルとほぼ同様のレベルで、フロリダにおける格付けを再現することができるということなのです。

詳細はテクニカルニュースLU-0833をご参照下さい。
 

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