アリゾナ州Q-Lab試験所の12万平米にわたる屋外耐候試験地。
アリゾナ州Q-Lab
世界で最大級の砂漠環境暴露施設のひとつに数えられるアリゾナ州Q-Lab試験所は、フェニックスから西に50キロほどの、車の排気ガスや工業・農業汚染から離れたバカイという町に位置しています。我々はここで、自然の屋外暴露試験、Q-TRAC自然太陽光集約型試験機による試験、ならびに試料評価サービスを提供しています。これらはISO 17025認定を受けた委託試験サービスです。
アリゾナという選択
アリゾナはその強度な太陽光照射と年間を通して高温な気候から、屋外耐候試験を目的とした暴露場所として国際的に知られるベンチマーク的ロケーションです。アリゾナ試験地の環境はフロリダと比べて太陽光量が2割ほど多い上、年間気温もより高く、湿度は低めです。夏季の気温は摂氏46度ほどにもなることがあり、黒色の試料であれば、その温度は摂氏71度を越えることもあります。
この高レベルの紫外線と極度に高い気温の組み合わせが、他環境では支障が出ない可能性のある高い耐久性を持った資材の試験場所として、アリゾナを理想的な環境にしてくれるのです。
この極度の気候は、以下のような特定の種類の試験や資材/材料にとって特に有効であることが実証されています:
- プラスティックの機能的強度の低下や物理的劣化
- 熱膨張効果やCTE(熱膨張率)のずれ
- 最大耐熱度調査
- 変色、色あせ、光沢の損失
- 自動車部品や標識の亀裂、ゆがみ、熱老化
多種多様な暴露技術
アリゾナの試験所では、自然暴露や促進型屋外暴露試験において様々な試料設置および暴露技術を用いた試験が可能です:
- 直接暴露法:
直接暴露は工業用コーティング材など多くの外部仕様素材の試験に採用される手法です。試料は表面部分が太陽に向くようにしっかりと固定されます。異なる用途に合わせ、様々な暴露角度や設置方法が用いられます。 - ガラス透過法:
この種の暴露法は織物/繊維製品や印刷用インキなどの屋内仕様素材に採用される手法です。試料は短波長の紫外線をブロックする3ミリの窓ガラスの背後に設置され、通常45度の角度で暴露を行います。 - ブラックボックス法:
車両の水平面で発生する、より高温な温度を模擬する試験です。ガラス透過ブラックボックス暴露法は自動車内部に使われる素材の試験に用いられます。 - AIMボックス法(自動車内装用素材用):
このガラス透過暴露法は自動車内部の環境をシミュレートし、ダッシュボードのような大型コンポーネントの試料設置に適した試験法です。AIMボックスにはソーラートラッキング(太陽光自動追尾)機能が付いているものもあります。 - Q-TRAC自然太陽光集約型試験機:
- 10枚並べた反射鏡でフルスペクトル(全波長域)の太陽光を反射させ、それを集光したものを試料に照射する手法を用いた促進型屋外耐候試験機です。このQ-TRACシステムは、日の出から日没まで、方位角と高度の両方で太陽の位置を自動的にトラッキング(追跡)します。反射鏡とトラッキング機能の組み合わせにより、試料に照射される暴露量を最大限に増加させます。詳細はQ-TRAC試験サービスをご参照下さい。
試料設置技術と暴露角度はいずれも、受ける太陽エネルギーの度合いと試料温度に大きな影響を与えます。詳細情報をご希望の場合は、LL-9025 – 屋外耐候試験暴露手順書をご参照頂くか、あるいはQ−Labへ直接お問い合わせ頂き、どのオプションがお客様の試験プログラムにふさわしいかをご相談下さい。
アリゾナ耐候試験法
アリゾナでの屋外暴露試験は多種多様な耐候試験法に対応しています。以下はそのほんの一部です。より詳細な仕法リストについては、規格ページをご参照頂くか、弊社までお問い合わせ下さい。
- 直接・ガラス透過暴露法(ASTM G7、ASTM G24、ASTM D1435)
- ブラックボックス法(ASTM D4141;GM 9163P)
- AIMボックス法(GM 9538P, GM 7455M, GM 7454M, GM 3619M; GMW 3417, Ford DVM 0020, ASTM G201)
- Q-TRAC自然太陽光集約型試験機(ASTM G90、ASTM D4141、ASTM D4364;SAE J1961)
従来の自然暴露および促進型自然暴露試験はどちらも、全ての耐候試験ならびに耐光試験プログラムにおいて重要な役割を担っています。材料科学者は頻繁に、材料の耐候試験に「フロリダ耐候試験」または「アリゾナ耐候試験」を国際的なベンチマークとして使用します。より完全な屋外試験プログラムを希望する場合には、多くの企業がフロリダとアリゾナの両方でその製品試験を行っています。